稲盛和夫 最後の闘い JAl再生にかけた経営者人生 / 大西康之

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タイトルのとおり、稲盛氏によるJAL再生の3年間を描いた著書です。

同社再生の軸となったのは、これまで稲盛氏自身の著書でも語られていた、フィロソフィとアメーバ経営です。
稲盛氏が主宰する盛和塾の会員である中小企業のオーナならいざ知らず、JALのような長い歴史を持つ、官僚的保守的な企業にフィロソフィとアメーバ経営を移植するのが至難の業だったことは想像に難くありません。
そんな保守的な会社だからこそ、一人一人の社員が、フィロソフィ(理念)をしっかりと理解し、同じ目標を目指して進んで行かなければならなかったことが語られています。
フィロソフィと言っても稲盛氏は決して難しいことを話すわけではなく、「利他の心を大切に」「ウソを言うな」「人をだますな」など、道徳の授業のような指針を、超大企業の幹部社員たちに根気よく説いていきました。
当たり前のことこそ実践するのが一番難しく、それがしっかり身に着けば、自ずとアメーバ経営も身についていいくことが、本書を読み進めるうちに理解できます。

一方で、政府に贔屓された再生と揶揄されたり、火中の栗を拾った稲盛氏がインサイダーの疑いまでかけられたりと、JALの再生を成し遂げることで「日本を奮い立たせたい」との稲盛氏の思いが、日本社会には十分理解されなかったことへの悔恨も伝わってきます。

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