社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア経営のすべて / イヴォン・シュイナード

画像引用:Amazon

パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードによる本書は、「ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」と言う同社のミッションのとおり、環境保護を軸とした経営理念を貫くことが、副次的長期的にはビジネスにも利益をもたらすという考え方を説いています。

環境保護団体への寄付はもとより、環境破壊への抗議活動への支援も厭わない同社は、もはや営利企業と言うより、自らが環境保護団体のようです。

楽しく仕事をすることを標榜し、社員皆がワクワクしながら出社し、自由な服装で和気あいあいと仕事をする家族的な職場を理想としていますから、人材の採用も社員の交友関係が中心です。

「社員をサーフィンに行かせよう」と言うタイトルは、社員自身がクライマーやサーファーやスキーヤーである同社の労務管理を的確に表しています。
サーフィンはあらかじめ予定してやるものではなく、良い波がきた時がサーフィンをやる時、パウダースノーが降った時がスキーをやる時、とい考え方に基づき、フレックスに業務できる体制が組まれています。
普通の会社だと、遊びと仕事の境界が曖昧になりそうですが、社員一人ひとりが、結果に責任の持つ、成熟した社風がそれを可能にしています。

オーガニックな材料をつかうこと、フェアトレードな材料を使うことはもとより、環境への配慮を突き詰めると、最終的に消費は”悪”になります。

自社の製品であっても例外ではなく、顧客に対しては、まだ使える製品を買い替えることを推奨せず、
修理キットを提供し、修理しながら長く使うことを勧めます。
ある意味、自分たちの製品を買うなと言っているようなものですから、徹底しています。

憧れますが、全社員が信念を持たないと、なかなかマネのできないことです。
経営理念を突き詰めるということは、それだけ覚悟のいることだということが本書から学べます。

ある意味、環境過激派のようなパタゴニアだからこそ、同じ志を持つ顧客からの強力なロイヤルティが得られるんでしょうね。

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