フジテレビの深夜枠で放映され、アマゾンプライムでも配信されているアニメです。
絵本のようなほのぼのとしたタッチとは裏腹に、
深夜枠なのが頷ける、陰謀と殺戮渦巻く王国物語です。
各国の王がランク付けされている世界が舞台で、
巨人族の王のもとに生まれた、非力で、ろうあ者の男の子(王子)が主人公です。
この時点で、”感動ポルノ”の誹りを受けることが多く、評価が二分されています。
しかし、決して障碍自体がテーマではなく、
手塚治虫の「どろろ」の百鬼丸みたいな設定と思って下さい(少しネタバレ?)
王子の冒険譚を描くファンタジーなんですが、
子ども向けの画風はそのままに、結構グロいシーンも描かれており、
ゲーム・オブ・スローンズ(全部見てないんですけど…)を絵本にした感じでしょうか。
とりわけ本作を魅力あるものたらしめているのは、
キャラクターたちを通じ、人間性の複雑さが描かれている点です。
悪だと思っていた人間が、実は善の心を宿していたり、
あるいは、その逆もあったりしながら、
立場や信念に悩み、弱さや強さに翻弄され、迷いながらも答えを見出していく姿が、
心を打ちます。
そんな心情の変化を丁寧に描いている点が、子ども向けアニメとは一味違う本作の魅力です。