CoCo壱番屋の創業者、宗次徳二氏の自伝的経営論です。
孤児だった宗次氏は、児童養護施設から養親に引き取られ、最初の頃こそ平穏な暮らしを得ますが、やがて養父のギャンブル依存により、一家は困窮に陥ります。
氏は、少年の頃から学業とアルバイトを掛け持ちし、家計を助ける生活を強いられました。
経営者としての成功と出自は直接関係ないのかもしれませんが、その生い立ちが、人としての強さを育てたことは間違いないようです。
成功の秘訣を聞かれた氏は「行き当たりばったりの経営が良かった」と答えていますが、まったくの素人から飲食業を始め、他社の成功事例を研究することもなく、コンサルに指導を仰ぐこともなく、自己流を貫いた経営姿勢は、まさにタイトルにある「変人」としての面目躍如です。
その経営の本質は、ノウハウなどという薄っぺらなものではなく、どうすればお客様に喜んでもらえるか、だけを一心に考え抜き、実行してきた結果に他なりません。
「目標設定は小さいほうが絶対良い」と述べられているように、真に頑張れば1年で達成できる目標を積み重ねることで、結果的に大きな目標に到達しようとする堅実な経営姿勢には、大いに共感が持てます。
経営者としての晩年、血のつながった子どもに会社を継がせることなく、創業時から信頼してきた仲間に会社を引き継ぎ、その後は経営から完全に身を引き、稼いだ金で社会貢献に打ち込む「変人」の生き様は、痛快極まりありません。