成瀬は都を駆け抜ける / 宮島未奈

画像引用:Amazon

2024年には本屋大賞も受賞した、成瀬あかりシリーズの新刊、3作目です。
先日、映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの完結編を記事にしましたが、お気に入りだった本作もこれで完結です。
「ベイビーわるきゅーれ」同様、1作目2作目のクオリティーを落とすことなく幕を閉じました。

大学に入学した主人公”成瀬あかり”が、あらたな友を得て、自然と周囲を明るく照らしていく姿を、周囲の人々の視点で描きながら物語が展開します。
準主人公の”島崎みゆき”との友情で始まったシリーズですが、最後も島崎との友情で幕を閉じるという、見事な着地を見せてくれました。

本シリーズ最大の魅力は、主人公成瀬あかりの唯一無二のキャラクターに他なりませんが、それだけにとどまらず、一見変人の成瀬に出会ったことで、周囲の人々の心に変化が起き、人と人とが結びついていく様子が、丁寧に描かれていることもまた魅力です。
終始無表情でマイペースながら、ちゃんと周囲を思いやることのできる成瀬は、周囲の人々に化学変化を起こす触媒のようです。

3作すべてが一気読みできる面白さなので、すでにコミック化はされていますが、きっといずれ実写化もされることでしょう。
この特異なキャラクターを、どんな役者さんが演じるのか楽しみです。
「ベイビーわるきゅーれ」同様、また数年後に、社会人になった成瀬の日常を読めることを期待しています。

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