「成瀬は天下を取りにいく」に続くシリーズ第二作です。
本シリーズの魅力は、何と言っても”成瀬あかり”という無双のキャラクターにあります。
正編がヒットすると、その続編は、ややレベルが落ちることが多々ありますが、本作に限っては杞憂でした。
前作は、相棒の島崎との絆を軸に、成瀬の魅力が思う存分発揮されていましたが、本作は、成瀬と関わる人々の輪をもう少し広げることで、あらたな展開が生まれ、成瀬ワールドが更にパワーアップしています。
本作も前作同様、地域(滋賀県大津市)レベルながらも、誰もが簡単には成し遂げられないような目標に向かって突き進む成瀬ですが、決してスーパーヒーローではなく、時に迷ったり、不安に駆られたりしながら、周囲にも助けられ、ささやかな大事を成し遂げていきます。
格調高い文学作品ではありませんが、成瀬の生き方がとても愛おしく、何度も読み返しては一人ニヤニヤしてしまうような、味わい深い良作です。
決して前作の成功に甘んじることなく、あらたな切り口で成瀬の魅力を引き出すことに成功した作者には、この先の続編も期待できそうです。