孫クンの夏休み

怖くて触れないのに、家の近くで見つけた昆虫を飼いたがる孫クンです。

先ずは、ゴマダラカミキリ。
名前はもちろん、ゴマちゃんです。
ネーミングのセンスがまったくありません。

虫カゴが汚れると、虫を怖がる孫クンは、カゴをぶら下げ掃除をしてくれと我が家を訪れます。

健闘もむなしく、ゴマちゃんは約1週間でご臨終。
家の花壇の隅に、先ずはお墓が一つ。

次は、たまたま開け放った窓から家に飛び込んできた、コガネムシ。
名前はもちろん、コガちゃん。
ありふれた昆虫ほど生命力が強いのか、2週間が経過。

私も虫は大の苦手なのですが、甲虫のように動きの遅い子たちであれば、さすがにへっちゃらです。
玄関の前のシマトネリコの木に集まっていた蝉たちも、そろそろ地上での短いエピソードの最終章に入りました。
玄関の前には多数の亡骸が転がっています。
地面に転がった蝉を足でチョンチョンとつつくと、突然生き返って大騒ぎするのは何故なんでしょう。
蝉は動きも素早い上に、あのギザギザ感がゴスっぽくて苦手です。
時折、猫の餌食になっている光景を見かけますが、あんなギザギザしたのを飲み込んで喉にひっかからないのか心配になります。

とっておきは、カブトムシ。
モールで開催された昆虫展が終了し、払い下げられた2匹が孫クンの家にやってきました。
何のヒネリもなく、カブちゃん1号、2号と名付けられ、カブちゃんたちも「オレのことか?」ときょとんとしています。
さすがにコガちゃんと同居させるわけにはいかず、百均でさらに2個の虫かごを買い足し、アパートのように3段に重ねています。

虫かごと一緒に買ってきた”昆虫ゼリー”なるもには、2026年2月の賞味期限が記載されています。
昆虫にとっての”賞味”期限とはいかなるものなのか?
「このゼリー、味変やぞ。賞味期限切れとんちゃうか?」などとカブちゃんからクレームが入ったから記載することにしたのでしょうか?

夏休み最大のイベントは、お友だちとのお泊り会です。
相思相愛のソウルメイト、A太君を迎えるべく、準備に余念がありません。

(孫クン)「パパ、明日はA太クンがくるから、3つの約束を守ってね」
(孫クン)「先ず一つ、A太君に優しく接すること。二つ目、A太君と遊んでやること。三つ目、A太君がいたずらしても叱ったりしないこと」
(婿君)「でもさぁ、もしA太君が、孫クンのパパは怖そうだから、遊びたくない!って言ったらどうすればいいの?」
(孫クン)「その時は、仕事行って!」

「ママ、A太君がくるから、お風呂の排水口をキレイにしておいて」と国賓を迎えるようなきめ細かな指示を受け、四つん這いでせっせと風呂掃除をした結果、赤くなった娘の膝を目ざとくみつけた孫クン。
(孫クン)「ねえママ、その膝、明日には治るよね」
(娘)「なんで」
(孫クン)「だって、そんな膝じゃA太君の前で恥ずかしいじゃん」
(娘)「・・・」

最後のイベントは、近所の自衛隊駐屯地のお祭り&花火大会。
孫クンのお目当ては、花火ではなくくじ引きです(昨年は見事自動小銃のオモチャを引き当て、味を占めたようです)が、残念ながら今年はくじ引きがなく、射的でした。
何故か景品の中で一番小さな、ゴルゴ13でも射貫けないような恐竜のミニチュアに狙いをつけ、地道にお手伝いで貯めたお小遣いを全てつぎ込んだものの、悉く的をはずした孫クンにとっては、ほろ苦い夏休みの締めくくりでしたとさ。

コガちゃん、カブちゃん2号、相次いで昆虫の神に召される。
予想通り、庭の隅の小さなお墓は、これで3つになりました。
“ふれあい”昆虫展の名の元、ちびっ子たちに散々いじくりまわされたカブちゃんにとっては、昆虫ゼリーをお腹いっぱい食べ、最後の穏やかな一時だったことを願ってやみません。

夏休みが終わり、嫌がることもなく新学期に臨んだ孫クンでしたが、始まって早々台風が接近。
「幼稚園、休みになるかもしれないね」との妻の一言に「よっしゃー!」と拳を振り上げる、休み明けの新入社員のような幼稚園児です。

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