夜に啼く鳥は / 千早茜

画像引用:Amazon

千早茜さん推しで恐縮ですが、もう一推しします。

不老不死の一族の物語ですので、ファンタジーと呼べるのかもしれません。
一族の起源から始まり、現代を生きるその末裔の長である少女の苦悩が語られます。
様々な問題を抱える不老不死ではない生身の人間との関わりの中で、自分自身の存在意義を問い続ける少女の孤独が描かれていきます。

不老不死であることの虚しさや哀しさは、同様のテーマの創作物に多く見られますが、本作は主人公は、そのキャラクター設定が秀逸です。
ツンデレ系キャラクターの典型と言えなくもありません。
同じようなテーマの韓流ドラマに「ホテルデルーナ」という傑作がありましたが、そこでIUが演じた不老不死の女性に重なる魅力があります。

徐々に滅びの気配が見え始めた一族の黄昏と主人公の少女の孤独、関わりを持った生身の人々に対する少女の不器用な優しさが胸を打ちます。
大人の童話のような導入部分に違和感を覚え、脱落する人も多いかもしれませんが、物語が現代に入ってからが俄然面白さが加速します。

一気読みを誘う、シリーズ化されてもおかしくないような、一級の娯楽作としての魅力も持った作品です。

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