「パプリカ」と同じく、今敏監督によるアニメです。
音楽も、同じく平沢進さんです。
主人公は、少女の頃ある男性と出会い恋に落ちますが、それっきり二度と再会することなく、女優として生きていきます。
物語は、生涯一人の男性を思い続けた少女の女としての一生と、女優としての一生を交錯させながら展開していきます。
特に凝ったストーリーではないんですが、女としての生き様と女優としての生き様の重ね合わせ方が絶妙です。
一人の男性への純愛を貫いた少女の人生は、彼女がそれを演じていただけだったのか、それとも、女優としての彼女の人生の方が真実の愛をなぞっていたのか、その曖昧な境界線は、誰の人生にもあてはまる普遍的なテーマを自然と浮かび上がらせます。
誰しも人生という作品の幕を閉じる時に、自分が作り上げた作品と如何折り合いをつけるか、っていう問題を暗示しているようにも思えます。
「パプリカ」同様、一つ一つの場面が一枚の絵画のような美しさを放っています。
SFとはちょっと違いますが、主人公と一緒に時を駆け巡っているような、幻想的な浮遊感を感じさせる佳作です。