不滅のあなたへ

画像引用:Amazon

NHK Eテレから NHK 総合へと、3シーズンにわたって放送され大河ファンタジーアニメです。
原作漫画の「前世編」と「現世編」が3シーズンにわたって放映され、先ごろ一旦最終回を迎えました。

物語は、縄文弥生時代を思わせるような架空の世界に、創造主を思わせる人物が、ある”球体”を送り込むところから始まります。
球体は、人間をはじめとした、その世界の様々な生き物と接触し、接触した生き物に姿を変えながら、意識や感情を学習していきます。
AIのディープラーニングのようですが、やがて少年の姿に定着し、フシという名を得ます。

同時に、”苦痛からの解放”の名のもと、ノッカーと呼ばれる人類を滅ぼす存在が現れ、フシは人類を守るため、ノッカーとの闘いに身を投じていきます。
というと、単純な善と悪の対立構造が浮かび上がってきますが、本作のテーマはもっと複雑かつ哲学的です。

ノッカーは、人間が肉体に魂を宿らせているからこそ、悩みや苦しみ、死の恐怖から逃れられないと解釈し、魂を肉体から解放してやる(=あの世へ送る)ことで、人間に救いをもたらすことを自らの行動原理にしています。

一方のフシは、人々が苦しみを味わわず、安らかに暮らしていける楽園のような世界を作り上げることを使命と信じ、そのためには死者を生き返らせることも厭いません。
フシもノッカーも、それぞれが信じる歪な価値観を拠り所に戦う様が、本作の異色さと言えます。

最近のアニメ作品に見られる、ハイクオリティなアニメーションに慣れた視聴者には、子ども向けアニメのような拙い映像表現や粗い演出に物足りなさを感じるかもしれません。
しかし、学習を積み重ねるにつれ、人の死や幸福とは何かについての悩みが深まり、迷い苦しみ続けるフシの姿には、身につまされるとともに共感を覚えます。

原作は「来世編」で完結していますが、アニメの方はフシとノッカーの和解めいた結末で一旦幕を閉じます。
アニメのエンドロールでは「来世編」の頭出しも見られますので、壮大すぎるテーマがどう完結するか、続編が期待されるNHKの傑作アニメです。

タイトルとURLをコピーしました