白石和彌さんって言う、
血生臭い映画(苦手なので見たことがありません)で高い評価を得ている人の、
初長編監督作です。
しかし本作は、著名になってからの作風とは違い、初々しく優しい作品です。
将来への希望もなく、社畜のように働くサラリーマンの主人公と、障碍を持つ兄、
そして、主人公が兄の性処理のため家に呼んだデリヘル嬢兼地下アイドル、
の3人の関わりを描く作品です。
社会に適合できない人々が織りなす、救いようのない物語なんですが、
時に、お互い傷つけ合いながらも、淡い希望に向かって歩んでいく姿が心に響きます。
障碍者を扱っているだけでも炎上しやすいんですが、
その上、おそらく白石監督が意図したことでもあると思うんですが、
主人公3人の素人っぽい演技や、
拙い演出や雑なカメラワークでドキュメンタリー感を出す手法もあり、
賛否両論の評価です。
イダログはと言えば、社会不適合者が希望を見出そうと喘いでいるような、
青臭い物語が好きなので、ついついこの手の映画には肩入れしてしまいます。
偽善的であっても、綺麗ごとであっても、不完全であっても、
それらが新人監督の純粋な思いと結合し、
化学変化を起こすことだってあるんだな、って思わせる良作です。