イラン系アメリカ人、アナ・リリー・アミールポアー監督による2022年の作品です。
まだ未見なのですが「マッドタウン」（日本未公開ですが、Netflixで配信中です）という賛否を巻き起こした異色作を監督した人です。
本作も同様に賛否が分かれそうですが、ハマる人にはハマる”世界観”を作り上げていると思います。
「次世代のタランティーノ、現る！」と喧伝された作品ですが、個人的にはエドガー・ライトのようなスタイリッシュさを感じました。
12年間精神病院に隔離されていた主人公モナ・リザが、超能力に覚醒し施設を脱走し、外の世界での出逢いを経験しながら逃避行を続けるお話です。
舞台となったニューオリンズの夜が淫靡な光彩を放ち、サイケデリックな音楽と相まって、物語全体をポップでスタイリッシュに彩っています。
本格的なホラーでもＳＦでもなく、主人公の生い立ちに関する情報も提供されないため、物足りなさを感じるかもしれませんが、五感を働かせれば独特の味わいが感じられる作品です。
お気に入りのエド・スクラインが、出番は短いながら、主人公を助ける、ちょっといかれた心優しいＤＪ役を好演しているのも見所です。