タイカ・ワイティティ、初期(2010年)の監督(兼出演)作です。
貧しいマオリ人の集落で暮らす「ボーイ」と呼ばれる少年は、幼い頃刑務所に入ったっきり会っていない父(ワイティティ)を、ヒーローのように想像し、慕っています。
しかし、集落に戻ってきた父が、実際には虚勢を張るだけの子悪党だったことを知り、失望しつつも、一方で、父親の弱さや子どものような純粋さに触れる中で、自分自身が自立し、成長していくための一歩を踏み出していく物語です。
ボーイとその弟や周囲の子どもたちが、生き生きと、且つ、おバカに描かれているのを見るにつけ、ワイティティの中に、少年たちと同じ心が生き続けていることがわかります。
低予算で粗さも感じられますが、心にじわーっと沁み込んでくる良作です。