2001年の作品ですが、当時の感動した記憶だけが残っていて、ストーリーもおぼろげになっていたため再鑑賞しました。
監督・主演のジョン・キャメロン・ミッチェルを投影したような、性的マイノリティーを主人公にしたロックオペラです。
旧東ドイツで生まれ、自由のために性転換したものの、手術痕に男性器が1インチだけ醜く残ってしまった、ヘドウィグの自己探求の物語です。
人間が神によって創られた当初は、二人で一つだったとの古代ギリシャの劇作家アリストパーネスの”愛の起源”をベースに、二つに引き裂かれた人間が片割れを探し求める宿命がテーマになっていますが、本作はそこにひねりを効かせ、同性愛を通じて物語っています。
ミュージカルのように流れ続けるロックナンバーはどれも素晴らしく、難解なテーマをストンと腹に落としてくれる潤滑油の役目を果たしてくれているようです。
たとえ片割れと出会わなくても、不完全なままであっても、自己のアイデンティティーを取り戻すことが一番大事なんだということを気づかせてくれる作品です。