パスワード

海外でのロストバゲージは経験があるんですが、先日、国内便の手荷物受取所で、スーツケースが行方不明になりました。
まさか国内でロストはないだろうと、目の前のコンベアからスーツケースが一つ一つ消えていって、ネタが少ない回転ずし屋のコンベアみたいになっていくのをぼんやり眺めていると、「イダログさんいらっしゃいますか」と呼ぶ声が聞こえてきました。

誰かが間違って持ち去った後、係員経由で戻ってきたというのが真相なんですが、ダイヤルキーが解錠されていたので、間違った人が一度中身を開けて確かめたんだと思います。
勘の良い人は既におわかりかと思いますが、何故解錠できたかと言うと、パスワードがデフォルトの「000」のままだからです。
スーツケースは、どうせ着替えしか入っていませんから、わざわざパスワードは設定していません。

間違って持って行った人も「000」で解錠したということは、ほとんどの人が、デフォルトのまま変更していないってことなんでしょうね。
逆に、スーツケースにちゃんとしたパスワードを設定している人ってどのくらいいるんでしょうか。
私は、せいぜい月1回程度しか使いませんから、下手に設定したら忘れるに決まっています。

デジタル社会の初期は、パスワードを入力する場面もATMぐらいでしたし、それ以外でパスワードを要求される場合でも、桁数が少なく、英数字だけで良かったから長閑なものでした。
スマホがないと生活できない最近では、あらゆる場面でパスワードを要求されます。
しかも、桁数は増えるし、英字の大文字と小文字を混ぜろとか、記号を入れろ、などと年々組み合わせが複雑になる一方です。

一番イライラさせられるのが、買い物をしてレジで支払う際、「アプリ会員になっていただくと、今日のお買い物から5%引きになります」ってやつです。

「面倒くさいから嫌です」って、きっぱりと断りたいところなんですが、(こいつ変人なんじゃないか)って思わるのが怖くて、結局素直に登録してしまうんですが、その場で咄嗟に条件に合致したパスワードを入力しろって言われると慌てませんか。
すぐに思い浮かぶのは、お金にまつわる大事なパスワードばかりなので、重要度の低いパスワードをその場で咄嗟に生成しようとすると、かえって悩んでしまいます。

◎$♪×△¥●&?#$!とかまで使いだすと、ちょっと何言ってるかわからない、ですし、絶対覚えられませんから、これ以上複雑になってもらいたくないですね。

逆に、キャッシュカードの暗証番号が、未だに4桁のままなのが不思議ですが、ネットで調べたところ、複雑なパスワードを要求すると、覚えられなくてメモを持ち歩くようになるから、かえってリスクが増すんだそうですが、これもわかったようなわからないような理屈ですね。

キャッシュカードの暗証番号は、シンプルに数字4桁なのに、”いかシューマイ”をネットで注文する時は、ID+複雑なパスワードを入れなきゃならないのも不思議です。
銀行よりも”いかシューマイ”屋さんの方が、セキュリティーが厳重なのかもしれません。

際限なく増え続けるパスワードが管理しきれなくなって、ノートに書き留めるようにしてるんですが、今では3ページ分ぐらいになってきていて、いざという時探し出すのに苦労しています。
Amazonで検索したら、パスワード管理帳っていうのがヒットするので、同じような悩みを抱えている人が大勢いるのがわかります。
実際は、ただのノートなんですけど、それらしく作るだけでビジネスになるんですね。

パスワードとはちょっと違いますが、メールアドレスの設定も違った意味で厄介です。
アドレスのローカル部と呼ばれる部分、所謂自分で設定する部分ですが、ここぞとばかりに、英語のカッコいい慣用句を駆使して無駄に個性を発揮しようとする人(うちの婿君です)がいます。
例えば、you-never-know-until-you-try-it@(やてみなけりゃわからないよ!)みたいな、意識高そうなヤツですね。

パスワードとは違い、基本的に自分以外の人が入力を強いられることを忘れていやしませんか?
たまに入力しなければならない時なんか、面倒くさいことこの上ないし、何より入力していて気恥ずかしくなってきます。
そんな人たちも、もう少し大人になったら、ムリなものはやっぱりムリだよね、って気づくんじゃないでしょうか。

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