タコピーの原罪

画像引用:Amazon

コミックで2巻、アニメで6話のコンパクトな作品ながら、様々な考察を巻き起こした問題作です。

ほぼ全編にわたって、主人公の少女を取り巻く家庭崩壊、虐待、貧困、いじめ等の過酷な現実が、目を背けたくなるような無慈悲さで描写されます。
一方、それとは対照的に、ハッピー星からやってきた地球外生命体の「タコピー」は、無邪気で純粋な存在として、別のアニメから抜け出てきたような異質さで描かれます。
その強引な対比が不穏さを醸し出しており、主人公を助ける(ハッピーにする)ため、短絡的に様々な”道具”を少女に与えるタコピーは、ドラえもんのアンチテーゼを体現しているようでもあります。
そんなタコピーの無邪気さこそが、”原罪”の意味するところなのかもしれません。

タイムパラドックスのひねり方も絶妙で、切ないハッピーエンドもキレイに纏まっています。
しかし、そこにいたるまでの、人間の醜さを容赦なくえぐり続けてきた描写を踏まえると、素直に受け止めて良いのかどうか迷うところもありますが、人間には良い面もあれば悪い面もあり、優しい面もあれば冷酷な面もあるという不変の真理を経てのハッピーエンドなので、素直に受け止めても良いのかと思っています。

様々な考察があり、ネタバレにもなるので漠然とした言い方しかできませんが、一見ハッピーエンドのような結末に至っても、少女たちを取り巻く悲劇はほとんど解決していません。
親は親、子は子と割り切って、ある意味家族とのしがらみを断ち切ってでも、少年少女にはしたたかに生き抜いて欲しい、っていうメッセージが感じとれます。
タコピーの贖罪によって実現した切ないハッピーエンドに、何らからの救いが表現されていると受け止めても良いではないでしょうか。

あのちゃんのOPテーマも秀逸です。
ポップなメロディーと裏腹な意味深な歌詞は、物語の答え合わせを表現しているようでもあります。

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