セブン・サイコパス

画像引用:Amazon

2012年のイギリス映画です。
コリン・ファレルを筆頭に、豪華キャストを配したクライムコメディーですが、ややまとまりが悪く、悪趣味なグロ描写もあってか、評価の分かれるところかと思います。

7人のサイコパスが登場するホラー映画の脚本を執筆しているファレルは、アイディアに行き詰っています。
見かねたサム・ロックウェル演じる友人が、ネタ探しを手伝うためサイコパス募集の広告を出したことで、予期せぬ混乱が引き起こされる、っていうのが大まかなストーリーなんですが、広告に釣られて7人のサイコパスが次々に集まってくるドタバタ劇を想像すると期待を裏切られます。

サイコパスはちゃんと7人登場しますが、物語の肝は、ファレル演じる主人公が、彼らとの関わりを通じ、ある種の成長を遂げる点です。

マーティン・マクドナー監督(スリービルボードの監督です)の狙いは、異常者達にも貫きたい”筋”や良心の欠片があることを描き、そんな現実にはあり得ないような状況設定を通して、愛と平和という大それたテーマを訴えようとしたところにあるようですが、やや緻密さと慎重さに欠けるためか、十分意図が伝わっているとは言えないようです。

それでも本作が魅力的なのは、足りないピースを見る者自身が埋めていくと、徐々に作品の輪郭がハッキリしてくるところです。
ファレル演じる主人公とともに、思わずサイコパスに共感し、彼らの切なさを感じとってしまうと、もう監督の思うつぼです。

万民向けとは言い難い作品ですが、上手くいかなかった意図まで含め、この手のクセの強い映画が好きな人の心を揺さぶるには十分な魅力を持つ怪作です。

ちなみに、オルガ・キュリレンコも出演していますが、何故か役に恵まれないことの多い彼女は、本作でもカメオ出演並みの無駄使いっぷりです。

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