
「オール・アバウト・マイ・マザー」で知られる、スペインの名匠ペドロ・アルモドバル監督による2024年制作の作品です。
31分の短編、しかもクィア西部劇という異色作ですが、主人公の二人をイーサン・ホークとペドロ・パスカルが演じていることもあり、短編小説のような芳醇さを湛えた作品に仕上がっています。
(ポスター画像から受ける印象とはまったく異なる作品なので要注意!)
若い頃、雇われガンマンとして殺伐とした生活をともにしながらも、性的マイノリティーとしての関係を共有していた二人が25年後に再会します。
一人は保安官(ホーク)、もう一人は貧しい牧場主(パスカル)となっており、簡単しか触れられていないのですが、保安官は牧場主の息子を殺人の罪で捕えようとしているようです。
しかし、物語の主題は、二人の愛憎やガンファイトではありません。
今も絶えることのない殺伐とした世界にあって、マジョリティーであれマイノリティーであれ、誰もが人間らしく穏やかな人生を選択する権利を有しているはずだという、アルモドバル監督の思いが込めらられた作品と解釈しました。