ザ・ピーナッツバター・ファルコン

画像引用:Amazon

プロレスの悪役になることを夢見て、施設を脱走したダウン症の青年、
兄を自身の過失で亡くした上、罪を犯して逃亡している貧しい漁師の青年、
ダウン症の青年が入所していた施設の看護師、
の3人がフロリダのプロレス学校を目指すロードムービーです。

ダウン症の青年は、実際にダウン症の俳優さんが演じ、
漁師をシャイア・ラブーフ、
看護師をダコタ・ジョンソン(ハリウッドで一番キレイな人だと思います💛)が演じています。

旅を通じ、3人が徐々に心を通わせていく、よくある話ではあるんですが、
変に気負ったところがなく、淡々とした中にも心に沁みるのは、
役者さんたちの演技が光っているからかもしれません。

“問題行動のデパート”みたいなシャイア・ラブーフですが、
撮影中のダウン症の俳優との関係性(興味がある人はネットで検索)と物語中の二人がシンクロし、
不思議な相乗効果を醸し出しています。

ジョージアからフロリダへの旅が背景になっていますが、
MUD」や「ザリガニの鳴くところ」と同じく、日本ではお目にかかれない湿地の情景が、
物語に独特な雰囲気を与えています。

また、小説には”行間を読む”という言葉がありますが、
本作は、”カット間を読む”というんでしょうか、あえて補足説明(シーン)を省くことで、
物語の奥行の深さを想像させる手法をとっているようです。

サラッと鑑賞するだけでも心を揺さぶられるんですが、
何度か反芻することで、さらに深い味わいが感じられる作品です。

ブルース・ダーン他、脇を固める渋い役者さんたちも良い味を出しています。

と、ここで終わりたいところなんですが、
ラストシーンがどうにも気になって仕方ありません。
本作を鑑賞した日の夜中、トイレに起きた時、突然ラストシーンが頭に浮かんできました。

どう解釈しようと作品の良さは揺るがないんですが、
素直にハッピーエンドと受け止めて良いものかどうか・・・。

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