ザ・バイクライダーズ

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モーターサイクルクラブのリーダー、ジョニー(トム・ハーディー)、ジョニーの片腕ながら一匹狼のベニー(オースティン・バトラー)、ベニーの恋人キャシーの3人を軸に物語が展開します。
アウトローにあこがれクラブを立ち上げたジョニーですが、やがて組織は肥大化し、コントロール不能に陥り、犯罪集団(モーターサイクルギャング)に堕ちていきます。

自由を求めて集まったはずなのに、群れができるとヒエラルキーが生まれ、統制をとるためルールが課せられるという矛盾が生じます。
やがて教条的なルールに不満な者たちが統制を乱し、自由と犯罪行為の境界が曖昧になります。
そんな、集団の宿命とも言える崩壊プロセスが、切なく胸に迫る作品です。

クラブに身を置きながらも、誰にも縛られず群れないベニー(クールなオースティン・バトラーを鑑賞するだけでも一見の価値があります)は、ジョニーとの絆を感じながらも、一匹狼の宿命のように組織化された群れから離れていきます。
群れを守るため、群れを縛り、自身も縛られ、身動きできなくなったジョニーは、悲劇に向かって突き進んでいきます。

暴力的な映画を想像するかもしれませんが、実際は、理想が破綻していく様を、静かに淡々と描いている作品です。
悲劇が降りかかったジョニーとは対照的に、穏やかな生活にたどり着くベニーとキャシーですが、どこか遠くを見つめる彼らの瞳に、空虚さが漂っているのが印象的です。

青臭さい感傷に思い入れできるか否かで、好き嫌いが分かれる作品ですが、バイク、革ジャン、暴力とは裏腹に、静謐な切なさが心に沁みる佳作です。

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