
イダログ世代のプロレスファンはリアルタイムで観戦したことがあるであろう、鉄の爪(アイアンクロー)こと、フリッツ・フォン・エリックと4人の息子たち(ケビン、デイビッド、ケリー、マイク)の物語です。
10代だった当時、彼らが本作で描かれているような悲劇的な背景を背負っていたとは、思ってもみませんでした。
プロレスをテーマにした華やかなスポ根作品ではなく、次々に悲劇に見舞われた家族の愛憎と絆がテーマの作品です。
プロレスのシーンもリアルに作り込まれていますが、あくまでもシリアスな家族劇です。
強靭な肉体を持っていても、それを制御できるだけの精神が備わっていないと、結局は不幸を招いてしまいます。
カメラは、そんな悲劇を避けられなかった一家を、突き放すのではなく、優しい視線で追っていきます。
生き残った者は、死んでいった者たちが精一杯生きてきた証を胸に、生き残った苦しさを抱えながらも生き続けなければならないことを訴えているような良作です。