罰(ばち)があたることを、九州では”ばちかぶる”と言います。
何となく、ドロドロに溶けた悪運を頭からぶっかけられるみたいで、怖くないですか。
小心者なので(これやらかしたら”ばちかぶる”かも)とか思うことが多々あります。
記事を書いていて突然思い出したんですが、昔々「ばちかぶり」というパンクバンドがありましたとさ、と聞いてウンウンと頷いているのは、相当年季の入ったロックオタクですね。
「プロジェクトX」で心に沁み込むようなナレーションを聴かせてくれた田口トモロヲさんを中心としたバンドでしたが、現在の落ち着き払ったトモロヲさんからは想像もできない狂気のパフォーマンスは、とてもここで書けるような内容ではありませんので、興味のある方は自己責任でググってみて下さい。
まさに、「名もなき男たちの壮大なドラマがあった」(プロジェクトX風に読んでください)です。
それはさておき。
7年程前、20年以上住んだ築70年の家を建て替えたんですが、敷地の中に樹齢100年(適当です)の”イチイガシ”の大木がありました。
妻は、邪魔だからぶった切る!と言って聞かなかったんですが、そんなに長く生きている大木を切り倒せば、必ず祟りがあるに決まっているので、
「ずっと昔からこの土地を見守ってくれていた霊木を、人間の身勝手で切り倒すことは許されない」
などと、”もものけ姫”よろしく、妻を説得して残したものの、先ごろあっさり枯れてしまいました。
梅雨が明けても若葉が茂らず、去年までは、イチイガシ♡とばかりに群がっていたセミたちが、この夏は寄り付かなくなったのでおかしいなと思っていたんですが、植木屋さんに確認してもらったところ、内部が空洞になっており、もはや二度とを息を吹き返すことはないとの、まさかの死亡宣告。
台風なんかで倒れて道連れにされる前に伐採しなければならなくなりましたが、市から年間3千円の助成金をもらっていたほどの大木ですから、先ずは伐採する前に、”ばちかぶらない”ようにお祓いです。
神官の祝詞は日本語なので、よくよく耳を澄ませると複雑なことは言ってない(失礼!)のがわかりますね。
相手は木なので、何て言ってるんでしょう?
たぶん「長い間、イダログの家族を禍から守ってくれてありがとね♪」みたいな内容をそれっぽく奏上してくれているんでしょうが、ハッキリ聞き取れるよりむしろ、何て言ってるかわからない方がありがたみがあります。
厄年とか、あまり気にしないんですが、妻が気にするので、その都度お祓いには行くようにしています。
最近読んだネットの記事によると、日本人や中国人は、4のつく日に心不全で死ぬ確率が他の日よりも13%も高い、ということがデータで裏付けられているそうです。
日本人や中国人は、4を不吉な数字と思い込んでるから、逆に4のつく日がくるとビビってしまって、
本当に死んじゃうって話なので、厄年だから不吉なことが起こるのか、厄年は不吉なことが起こると思い込んでいるから不吉なことが起こるのか、っていう話ですから、お祓いしてもらえば大丈夫と思い込めば、きっと大丈夫に決まってます(知らんけど)
歳をとるにつれスピリチュアルな儀式がありがたく感じるようになり、30年ほど前から同じお寺にお祓いをお願いしています。
神社のお祓いは日本語なので、それっぽく聞こえても所詮日本語ですが、仏教のマントラはサンスクリット語を起源としているからか、いかにも呪文っぽくて、”何言ってるかよくわからない感”がむしろ頼もしく感じられます。
「◎△$♪×¥●&%#?!・・・ソワカ」とか、意味不明な真言を唱えられると、もうそれだけで鬼滅の刃の世界に紛れ込んだみたいで、すっかり悪霊をやっつけた気になりますよね。
最初にそのお寺にお祓いをお願いした時は、今の住職のお祖父さんが住職だったんですが、高齢でヨロヨロしながら本堂に現れるや、突然雷鳴のような大きな声で「あー」とか「うー」とか叫びだしたので、これは相当邪悪な禍でもやっつけてくれるに違いないと確信し、今でもお祓いと言えばそのお寺のお世話になっています。
現在はお孫さんの代になっていますが「今、1週間断食しているんですよ」などと青白い顔でお祓いしてくれたこともあり、いかにも妖術が使えそうで頼もしく感じていたんですが、ふと駐車場を見ると、住職の愛車の赤のミニクーパーが停まっていて、ユニオンジャックのオプションまでつけて可愛がっているようなので、ちゃんと人生を満喫しながら、日々邪悪な存在とも戦っていらっしゃる方のようです。