8年前まで、築80年ほどの古い家で暮らしていました。
壁の隙間から外が見えるような家だったため、夏は比較的凌ぎやすかったのですが、冬は、家の中にいても息が白くなるような生活環境でした。
そんな、外との境界が曖昧な家でしたから、図鑑では決して人気者になれないような生き物たちにも恵まれていました。
今回は、当時の彼らとの触れ合いをランキング形式で紹介します。
第一位は、ありふれていますが、ゴキブリです。
明らかに一般の住宅よりも生息数が多かったんですが、とりわけ一位の座を射止めたのには理由があり、何故か我が家に住み着いていた彼らは、頻繁に羽を使っていたのです。
多分、他の家のゴキブリよりも進化していたんじゃないかと推理しているんですが、地球上で部屋の中を飛び回るゴキブリほど恐ろしいものはありません。
彼らが部屋の中を飛び回ろうものなら、床に這いつくばって恐怖が去るまで祈り続けるしかありません。
丸めた新聞紙で叩き潰してやろうなどと、大それたことを考えていた自分の愚かしさを何度後悔させられたことでしょうか。
第二位は、ムカデです。
現代社会でムカデに刺された経験をした人はそれほどいないはずです。
当時私は、年に何度も刺されていました。
何度も刺されていると、瞬間的に(あっ!ムカデにやられた)とすぐわかるようになるんですが、先ず、(なんか痒いな)の数秒後に、突然燃えるような(本当に火が点いたみたいなんです)痛みが襲ってきます。
夜中にこの痛みが奔り、ハッとして目を覚ますと、だいたい布団の中にいることが多いんですが、一番恐ろしいのは、枕元で遭遇するときです。
飛ぶゴキブリがパニック映画だとすると、ムカデはさしずめホラー映画です。
あまりにも何度も刺されるので、アナフィラキシーショックで死ぬんじゃないかと心配になりネットで調べたところ、どうやらムカデに刺されて死んだ人の記事は見当たりませんでした。
家の新築にはあまり興味がなかったのですが、ムカデの恐怖に怯えず生きていけるようになったことだけは、新しい家に感謝しています。
第三位は、稀にしか遭遇しなかったんですが、ネズミです。
ゴキブリやムカデのような虫の類とは違い、家の中でペット以外の哺乳類に出会う機会はそうそうありません。
不思議なのは、居間で寛いでいても、台所に現れると視線を感じることです。
誰かに見られているような気がして、ふと視線を台所に向けると、つぶらな瞳で「友達になりませんか?」と訴えかけていることがありました。
げっ歯類とは友達になれそうにないので、どうにかしなきゃいけないんですが、ゴキブリやムカデと違い、哺乳類を殺すのには、相当勇気がいります。
トムとジェリーのお手伝いさんは箒を振り下ろして戦いますが、現実には、気づかなかったフリをして出て行ってくれるのを待つしかありません。
一方で、積極的に退治しようという気はなかったのに、勝手にゴキブリホイホイの中で死にそうになっていることがあり、目が合うと、ここでもやっぱり「ボク、どうしたらいいんでしょう?」と訴えかけてきます。
害獣には違いないのですが、可愛いヤツは得ですよね。
第四位は、クモです。
家の中にいる大型のクモは、タカアシグモっていうらしんですが、畳や廊下を横断する時、カサカサっていう足音がするんです。
彼らは益虫なのですが、あの強烈な姿は悪者にしか見えませんから損ですよね。
九州ではクモのことを”コブ”と呼びます。語源はわかりませんが、”ヨロコブ”の語呂合わせで、みだりに殺してはいけないと年寄りから教えられて育ちます。
きっと、益虫であるクモを守るための言い伝えだったんじゃないでしょうか。
第五位は、ヤモリです。九州北部では”カベチョロ”と呼ばれています。
夏場、キュートな彼らが、網戸に張り付いて、蛾をパクッと食べるのを見るのが楽しみでした。
手足の指とお腹のプクプク具合がたまらなく可愛くて、赤ちゃんカベチョロは、とりわけキュートです。
但し、見ている分には良いんですが、時々天井から突然落ちてくることがあり、そんな時は、どんなに可愛い奴らとは言え、驚いて悲鳴を上げそうになります。
すばしっこいくせに、何故か引き戸や障子の開閉から逃げきれずに轢死していることがあり、干物状態でシールみたいになった亡骸を見かけることがよくあります。
ところで冒頭の画像ですが、隅っこに映っている黒い塊はコウモリです。
ランキングの三位までは、新築後姿を消してしまいましたが、クモとカベチョロには今でも遭遇します。
新人として4年程前から毎年夏になると現れていたのがコウモリです。
2年程前、ネタに使おうと思ってスマホに収めていたのを思い出し、今回の記事を書きました。
今年はまだ姿を見かけていません。
コウモリは、中国では幸運を運んでくるという言い伝えがありますが、妻が気味悪がるので、昨年はハッカ油で追い払っていたので、もう来てくれなくなったのかも知れません。
中国の迷信を信じるわけではありませんが、来なくなると幸運に見放されたんじゃないかって少し不安になります。
今回コロナが大流行したのも、中国の研究者が迷信を信じて、コウモリが悪いことするわけないじゃん、って油断したからじゃないか、って言うのが私の説です。