死んだ山田と教室 / 金子玲介

画像引用:Amazon

第65回メフィスト賞受賞作です、

飲酒運転の車に跳ねられ死亡したはずのクラスの人気者「山田」が、校内放送のスピーカーを通して、クラスメートと声だけで交流する話です。
序盤は、「山田」とクラスメートの間抜けな会話の応酬が、コントのように楽しませてくれます。

それだけだと、ただのほのぼのとしたファンタジーですが、それだけ終わらないのが本作の凄みです。
歳をとり、成長し変わりゆくクラスメートたち、永遠に歳をとらず、声だけはクラスの人気者のままの「山田」
大人になることと、青春の一コマに置き去りにされることの間に、徐々にズレが生じてきます。

中盤以降に明かされる、人気者「山田」の心情の切なさとともに、ほろ苦い青春を瑞々しく描きだす佳作です。

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