夜空に泳ぐチョコレートグラミー / 町田そのこ

画像引用:Amazon

文学作品で新しい作家と出逢うのは久しぶりです。
昨年、本屋大賞を受賞した町田そのこさんの、本作はデビュー作にあたる短編集です。

それぞれの短編の主人公が、別の短編でも登場する、所謂連作になっています。
いずれの作品も、心を揺さぶられる物語が語られており、
それぞれの作品の主題を膨らませれば、一冊ずつの独立した単行本になりそうなほど、
濃密な味わいを持った作品ばかりです。

様々な境遇に置かれた登場人物たちの心の痛みを、
優しい眼差しで、丁寧に描いているため、思わず感情移入してしまい涙腺が緩みます。

しかし、それぞれの作品の主人公は、別の作品の主人公と深く関わることはなく、
さり気ない関係が描かれるだけです。
作品Aの主人公が抱える心の痛みを、違う痛みを抱える作品Bの主人公が知る由もなく、
両者の苦悩がわかっているのは、読者だけです。

この仕掛けにまんまと嵌ると、他者への共感の心が、自然と湧き上がってくるから不思議です。

タイトルとURLをコピーしました