クイーンズ・ギャンビット

画像引用:Netflix

孤児院で育った女性ベス(アニャ・テイラー=ジョイ)が、男社会のチェスの世界で頭角を現していく物語です。
制御しきれない才能の奔流と閉ざされた心の闇がチェスの盤上と酒と薬物の中で描かれていきます。

このようにまとめると、孤児という境遇で経験する悲惨さや女性の社会進出特有の性差別がクローズアップされそうですが、そこは意外とあっさり描かれていきます。

そこは主題じゃないよ、という意図が感じられます。

主人公が無意識にぶち壊そうとしている壁は、生い立ちや男社会ではなく、
あくまでも彼女自身の閉ざされた心に潜む何かなんだということがわかります。

生い立ちも、男社会も、(時代背景の)東西冷戦も、
ベスにとっては壁と見做すほどの手ごわい相手ではありません。
その程度の敵は、なぎ倒して進んでいきます。
ベスにはそんな、ワンダーウーマンのような強さがあります。

監督が描きたかったのは、(同じく監督した)ゴッドレスの時と同様、
性を超えた人間の強さと弱さなんじゃないでしょうか。
そこでは男も女も関係ないんですが、女性を主役に描くことで、
より一層普遍的な価値観が際立ったように思います。

モデルになっているのはボビー・フィッシャーのようですが、
フィッシャーの人生とは違い、見終えた後は暖かい気持ちになります。
ゴッドレス同様、最後は人間の強さや温かさに光があたります。

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